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初診日・特殊事例

光線過敏症

光線過敏症は、日光や蛍光灯などの光を暴露することによる皮膚反応を起こす特殊な疾患です。元々障害年金制度が想定していない特殊な事例に当事務所はどのように取り組んだのか?

事例

女性・33歳(申請時点)
申請:平成28年
結果:(裁定請求)不支給→(審査請求)障害厚生年金3級→(再審査請求)棄却→(更新)2級

元々日焼けしやすく肌が弱く、日光に当たるとひりひりする感覚があるという自覚はあったが、平成23年頃より、ヒリヒリ感が徐々に明確な痛みへと変わっていき、これはおかしいと思い皮膚科を受診。
個人医院では症例がないような症状であったようで、その後総合病院、大学病院を受診し、膠原病やポルフィリン症などの疑いで検査がなされるもそれらは否定され原因も不明のまま、症状は更に悪化し、日光に当たった後に壮絶な痛みを伴うようになった。
その後、最初に行った皮膚科から、光線過敏症に詳しい別の大学病院の皮膚科の先生を紹介されて受診。この頃には外出時には特別な遮光性の衣服及び顔全体を覆う遮光性のマスクを着用し、自宅でも灯も消した完全遮光の自室内にて過ごさざるを得ない状況だった。
大学病院を受診して、皮膚科以外にも精神科や漢方科などの方面からもアプローチしたが有効な治療法が無いまま現在に至る。
仕事も続けられなくなって、障害年金という制度を知る。裁定請求段階では地元のエセ社労士(?)に依頼し、請求に及ぶが、不支給となる。
その後当事務所へご相談。

当事務所による解決

面談~方針の策定
当事務所へ相談があって、概要は電話やメールでお聞きしていたのですが、この病名での申請を承るのは初めてでしたけれども、その後実際にお会いしました。全身遮光ということだったので、どういう形でお会いするのだろうかと不安でしたが、私の人生においても、会ったことはあるけれども顔を見たことがないという人は初めてのことだったので、実際そのお姿を見たときはショックを受けました。
それと共に、なぜ認定されなかったのだろうかという点により一層強い疑問を抱きました。形式面で言っても、一見して診断書はそれなりの内容のものは出せていると思われました。
最初からうちで携わったわけではないので、こうなってくると粗探しのようにはなってくるのですが、原因として私が思ったのは、要するに症状として起こっているところのメインは疼痛ですので、疼痛は原則として認定の対象とはならないというルールからすればそこが原因なのかなというのは思いました。
また、平成24年に認定困難事例の4類型として、慢性疲労症候群・線維筋痛症・脳脊髄液減少症・化学物質過敏症について、別途照会様式などが定められており、前2者についてはそれぞれ事例集で触れていますが、当職の感触としては、それが定められたから認定されやすくなったというよりかは、照会様式を参考にしながらそれはそれとして保険者としては厳しく審査していくぞというスタンスのように感じられるので、単に申請において形だけ整っているというだけでは足りないものがあったのかなという風に思いました。本件では正確には違いますが化学物質過敏症の照会様式を添付して申請しておられました。ただ、細かくみるとこれにしても診断書にしてもまだ詰めが甘い部分があったのかなという印象は受けました。

審査請求
不足している部分として一つ思ったのは、実際私が感じたビジュアル的な衝撃を示すというのは有効ではないかと思いました。ですので、遮光した装備を着た状況の写真を撮影し、それを添付し、それを着たままでは少なくとも仕事も出来ないし、街を一人で歩くことも出来ないし、その意味で社会的に実用性の乏しい姿で生活せねばならないことを説きました。
また、疼痛の件については、元々化学物質過敏症の照会様式にも項目として(頭痛)(お腹の痛み)(陰部通)(筋肉関節痛)などが挙がっており、それは保険者としてもこの障害にまつわるものとして前提としているものなはずだからそれで認定されないというのは背理である旨主張しました。
そして、審査請求後しばらくすると、まず、不支給を3級に等級変更する旨の処分変更がありました。ただ、その上で2級以上には該当しないとして審査請求は棄却されました。
もちろん当職も依頼者さんも、外出さえままならない状態から考えると3級では依然として不服でした。でしたが審査官の決定を見ても良くその理由もわからないし、ただ一つわかったのは「写真は自分で撮ったものだからダメだぞ」という趣旨のことは書かれていまして、「エェー、どうせよとおっしゃるの?!」とこの時は思いました。

再審査請求とその後
その後再審査請求に及びましたが、結局処分の理由というのがいま一つわからないまま棄却されました。
それはやはり不服でしたが、丁度3級で認定されたものの更新がその数か月後に行われることになりましたので、一からやり直すつもりで丁寧にやり方を考えてみました。
まず、写真は自分で撮ったものだからダメと審査官から言われたので、病院で撮ってもらった上で、診断書の付属書類として添付しました。
また、当初から気になっていた部分ですが、照会様式には各種検査項目が挙げられていますがこれが未実施になっている部分が多かったので、可能な限りで実施してもらいました。なお、照会様式には(※検査を行っていない項目を新たに検査して記入する必要はありません。)と記載されてはいるのですが、しかし、そのように記載がありながらも、審査請求においては未施行であることが減点要素であるやに書かれていましたので、結局こういうところにトラップを仕掛けられているものなんだなということを理解しつつ丁寧にやっていきました。
他には、実際どれくらいの光線暴露をすればどのような症状が引き起こされるのか、ということを診察時に主治医の先生にも相談して、手のひらに30分ほど蛍光灯を当ててみればどうなるかという試験をしてみました。安全性を考えるとこれが限界だったのかなとは思いますが、紅斑反応が確認されましたのでそのことも診断書に記載をしてもらいました。
また、ダメ押しとして、どういわれるかわかりませんが自室の様子を写真で撮って屋内でもいかに制限された生活であるかも見てもらおうということになりました。
そんな感じで、更新の書類としては膨大になりましたが、気になる点を一つずつ丁寧にチェックしていきながら提出したところ、2級で認定がなされました。

エセ社労士に依頼してはいけません!

  • 非常に苦労しましたが最終的には1級にはなりませんでしたがまあまあの結果は得られたかなと思います。
    依頼者さんにも苦言として言ったのですが、そもそも最初試験合格後未登録者のような者かそもそも試験に合格もしていない者なのかわからないのですが、そういう社労士もどきに依頼したとのことなのですが、そういうのはいけませんよ、最初からうちに言ってくれればこんなに苦労しなかっただろうにと伝えました。
    意味が分かりませんが、エセという自覚があるため、依頼者さんには「この申請にあたって絶対に私の名前を出してはいけません」とくぎを刺すようなことも言われたそうです。怪しすぎるやろwwww
    実際、話を聞いてみると、当職が行ったような細かな検証というものをそのエセ社労士はやっておらず、体裁は一応整えたけれども、経験の浅さに加え、深いところでこの障害年金業務をなめているなというのは随所にうかがえました。
    結果、依頼者さんにはエセ社労士と正規の社労士の力の差をまざまざとお見せすることは出来ましたが、元々その社労士は社労士法違反の違法な存在でありますし、それで依頼者さんに罰則はないとしても、このように実質的に不利益を被るということになりますので、そういう意味でもエセ社労士に依頼するというのは絶対にやってはいけません。

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