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精神

初診日・特殊事例

社会的治癒(高次脳機能障害)

脳梗塞後遺症としての高次脳機能障害について社会的治癒の主張が認められた事例です。

事例 男性・28歳(申請時点)
申請:平成26年
結果:障害共済年金1級(認定日請求)

4歳時に脳梗塞を発症する。その後、大学を卒業して就職。公務員となる。しかし、就職後すぐのころから、仕事上でのミスが目立ち始め、あまりにひどいので親を交えて上司らと面談することもしばしばであった。そして、平成24年に両親のほうで、発達障害ではないかと思って、病院を受診した。すると、発達障害ではなく、4歳時の脳梗塞を原因とする高次脳機能障害であると診断される。平成25年に限界を感じて退職する。

当事務所による解決

現在の症状と脳梗塞に因果関係がある以上は普通にやったら、4歳時が初診日=障害基礎年金での申請となるケースかと思います。ご家族からのご依頼でしたが、既に障害年金という制度のことをよく勉強されておられまして、当然20歳前の障害基礎年金となるでしょう、というお話をされていました。

しかしながら、ご家族から、子供のころからのお話を詳しくお聞きして
・高次脳機能障害自体が分かったのが就職後であること。
・就職するまでは大学へも普通に入学できて、卒業も普通にできていること。
・公務員試験にも合格している。
・生活に多少だらしないところも見られたものの、交友関係もいたって普通だったこと。

などから、社会的治癒の考え方を用いて、平成24年に精神科を受診するまでは寛解・治癒していたものとして初診日を共済加入時である、平成24年として申請することを提案しました。

そして、そのあたりの理屈は共済に説明したうえで申請したところ、無事認定が得られました。

社会的治癒の成否に関して思う事

  • ご家族としては、基本的なところはよく勉強されていたので、逆になぜ共済年金なのかというのは、当初はよくわからないという感じのようでしたが、共済年金のほうが基礎年金よりも額も大きいですので有利ですので、よかったです。
    逆に、ご相談をいただくケースとしては、とても社会的治癒を主張できそうにないのに強く希望される方もいらっしゃいます。

    そもそも社会的治癒というのは法律上の定めもないものであり、年金事務所の窓口では普通は案内しないものでもあります。絶対無理とは言いませんが、一般の方だけでそれを主張しながら申請するだけでも骨が折れるだろうと思います。
    更に言うと、社労士の間でも、個別のケースで、これは社会的治癒が適用できる、これはできない、という判断は人それぞれという感があります。はっきり言ってしまうと、当職からすると、いろいろなうち以外での認定事例を見る中で「これはムシが良すぎるのではないか?」と思う主張でも通っている場合があります。しかし、実際に携わった社労士からするとすべての情報を精査するとそのような心証を得るに至ったのでしょうから、微妙なところはわかりませんが。
    それくらい実際の適用に当たっては微妙なところがあると思います。

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