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初診日・特殊事例

はじめて2級

基準障害(いわゆるはじめて2級)による認定事例のご紹介です

事例 男性・45歳(申請時点)
申請:平成26年
結果:障害共済年金2級(はじめて2級)

子供のころ、熱傷による下肢障害を負った①。成人し就職し公務員となる。就職後、うつ病②及び神経因性膀胱③にも罹る。
そして、以上3つの障害について障害共済年金を申請したところ、以下のような決定となる。
・②③についていずれも3級と認定するとして、共済年金の証書が届く。
・①については20歳前障害となるので、これについて認定を求めるのであれば年金事務所で申請されたし、との電話連絡を受ける。

当事務所による解決

実は最初に申請される際に、当職のほうへご相談があった方ですが、決定が下りた後に、この結果は妥当なのだろうかということで再度お電話をいただきました。

お話をお聞きすると、これは、ひょっとしたらはじめて2級の適用できるケースではないかと考えて、その段階から審査請求案件として受任しました。

はじめて2級とは、正式には基準障害と呼ばれるものであり、複数の障害を持つ場合で、それら単独では2級に該当しないけれども、それらを併せることによってはじめて2級となる場合には、後の初診日を基準とする障害年金が受給できるとする制度のことです。

本件に即して言いますと、診断書を拝見しても①②③いずれも3級7号となると思いました。
これらを併合すると、まず手順としては①と②を併合すると、3級6号となります。
そして、それと③の3級7号を更に併合すると、2級4号となります。
これで、はじめて2級となり、本件の場合、あとの年金制度つまり障害共済年金2級として認定されるべき場面です。

そのような考えのもと、しかしながら、①の申請については、共済組合は何も決定をしていないのでまずは却下するならするで、審査請求をするならばその通知が必要ですので、その旨の連絡をとりました。

すると、「なるほど、確かにそうですね。前例がないので気づきませんでしたが、その方向で再度検討します」ということでした。やはりレアなケースではあると思いますが、結果的に審査請求を経ることなく、処分変更となり、2級と認定されて、障害基礎年金も併せて受給できるようになりました。

ひとまずそれでよかったのですが、ご依頼者様には、おかしな話ですけれども、今後①の下肢障害のみが悪化してそれだけで2級相当となれば、はじめて2級とはならなくなるので、障害の程度は増進するのに年金額は下がるという現象はあり得ますよというお話はいたしました。

社労士試験受験生時代には、一つ一つは2級未満でそれらを併せてはじめて2級になるなんて、そんなレアなことは実際にあるのだろうか、などと思っていました。しかし、実務上はこのような複数の障害がある場合の処理を自在に考えれるようになることは大きな武器になるということを知りました。

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